修復は、一体ごとに傷み具合の異なる仏様と向き合うこと。御寺様のご意向を伺いながら、これまでの佇まいや雰囲気を残しつつ尊厳を失わない修復を目指しております。全修復するより安価にできるという理由からではなく、古い仏様の持つ趣を残しながら不具合な部分だけを修復することも可能です。解体は必要に応じて行うこととし、打ち傷や破損部だけの修復や擦れた金箔や絵具の輝きを補うことで、経てきた時間を少し巻き戻すことができます。 また新しく塗り替えを行うことで仏様の持つ尊厳を損なうと判断できるときは、あえて木肌の美しさを活かす修復方法を提案させていただくこともあります。風化した木目は仏様の経てこられた歴史の重さを雄弁に語ってくれます。
本像の修復は解体は必要最低限とし、
破損部の修復と漆箔剥落部の補修を中心とした
修復をおこないました。
部分的に解体し、油煙を除去します。